2011年6月23日木曜日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 佐野元春。

 リズムやメロディにとらわれず、
溢れてくる言葉を自由に使ってみたい。

その思いにうごかされ、佐野さんは、
言葉との闘いを始めることになる。

そして、ロンドンに滞在し
実に3ヵ月を費やして制作されたこのアルバム。

『現代詞とロックとの融合』
アルバムが発表されると、そう評価されるようになる。

それが、アルバム”ナポレオンフィッシュと泳ぐ日”だ。

曲のタイトルは、ほとんどが日本語で統一されている。
新たな表現に挑戦した1枚だ。

このアルバムは、ロンドンのミュージシャンとの共同作業で
ハートランドからは、ダディ柴田(Sax)と西本明(Key)が
渡英し、参加した。

その後、西本明は、レコーディングプロデューサーの仕事に
専念するため、一時ハートランドをはなれた。

そして、全国ツアー 『ナポレオンフィッシュツアー』では
アメリカのステージデザイナーを招いて、先進的なステージを
展開し、音、照明、映像をコンピューターで制御するという
内容となった。

”約束の橋”
プラチナディスクに輝いているこの曲は
ドラマ『二十歳の約束 』の主題歌に起用されていた。
そして、”See Far Miles Tour Part1”のライブDVDに収録されている
約束の橋 ウッドストックバーション。
おそらくいまのところ、このDVDでしか聴くことが
できないのではないかと思っている。貴重な映像である。

どうしても、個人的にライブ用のアレンジの方が好きなので、
話がそちらにかたむいてしまうが、許してほしい。

”ブルーの見解”
ナポレオンフィッシュツアーでは、オリジナルとはまったく違う
アレンジで演奏されている。
東京Be-Bopのホーンがかなり効いている。
また、佐野さんのボーカルもオリジナルとは全く違っている。

”愛のシステム”
ライブでのアコースティックギター中心のアレンジもよいのだが、
ナポレオンフィッシュツアーのライブビデオに収録されている
長田進のギターソロがからんでくるとがったバージョンもすてがたい。

”雪   あぁ世界は美しい”
この曲に対するイメージやニュアンスが、ロンドンのミュージシャン
たちには、なかなかつかめなかったらしく、何テイクも録ったが
結局あきらめて、日本でハートランドとともに収録した。

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日

佐野元春さんが、言葉とのたたかいの末、創りあげたこのアルバム。
日本語ロックの新たな世界を切り開いたといっても過言ではない。

新たな表現を追求した1枚です。

最後まで読んでくれてありがとう。

ここにきてくれてありがとう。

sweet16 佐野元春。

 91年、佐野さんのお父様が亡くなられた。

しばらくの間、音楽活動を休止することになる。

佐野さんのお父様は、会社を経営していた為
多くの問題が残されていた。

様々な問題をひとつひとつ整理し、社員の人たちとも
誠実にむきあい、対応していった。

そんな日々の中、今までの歩んできた自分の姿を
佐野元春さんはみつめていく。
『自分とは?』

92年1月、”See Far Miles Tour Part 1”をスタートさせる。
新作アルバムも持たず、いきなりのツアーだ。

それは、活動休止により、鈍ってしまった感覚を取り戻すためだった。

ライブを通じ、ファンとの交流のなかで少しでも感覚を甦らせたい。
そう願っていた。

全国をめぐる。

各地で多くのファンたちが、あたたかく迎え入れてくれた。
多くの人たちが待っていてくれた。
そして、やる気にさせてくれた。

ツアー後、レコーディングを行った。

sweet16

”また明日”
ニュース23のエンディングテーマに起用される。
矢野顕子さんとのデュエット曲でもある。

”エイジアンフラワーズ”では、
ヨーコオノ、ショーンレノンをゲストに迎えている。

”誰かが君のドアを叩いている”
このシングルにオリジナルとともに収録されている
リミックスバージョンがあるのだが、
これは、このシングルでしか聴くことができない。

またこの頃、佐野さんとハートランドによるパフォーマンスは
ピークを迎えつつあった。
See Far Miles Tour Part1 & Part Ⅱでのライブパフォーマンスは
クオリティが高く、これはこのツアーの模様を収録した
ライブビデオをみていただければ、じゅうぶんに
納得していただけるだろう。

さらにアルバム”sweet16”は第34回日本レコード大賞で
優秀アルバム賞を受賞し、そしてコンピレーションアルバム”No Damage2”
とともに、ゴールドディスクにも輝いている。

アルバム”sweet16

佐野さんが、父に捧げた1枚です。

最後まで読んでくれてありがとう。

ここにきてくれてありがとう。

2011年6月20日月曜日

VISITORS 佐野元春。

 ロックンロールナイトツアーの最終日、

佐野元春は、活動を休止しニューヨークにしばらく住むことを発表する。

渡米前に発表されたベストアルバム”No Damage”は初の1位を獲得。

しかし、そんな状況のなか、佐野さんは渡米した。

New York。新しい音楽に出会う。

また、ニューヨークに来て最初の友人が亡くなるという大きな出来事もあった。 

86年発表の”Shadows Of The Street”はその友人に捧げられた曲だ。

また、80年代に入りMTVが開局。
佐野さんもそれに触発されるように、ビデオクリップを制作していく。
”TONIGHT” ”COMPLICATION SHAKEDOWN” ”NEW AGE”など。

84年5月、アルバム”VISITORS”を発表。初登場1位となる。
賛否両論あったものの、のちの日本のロックに新しい可能性を示した。

ハートランドとも1年ぶりに再会し、ツアーにむけてのリハーサルにはいる。

また、これまでギターをつとめていた伊藤銀次が
ソロとしてデビューした為、横内タケがギターとして新加入した。
そしてパーカッションに里村美和。
さらに、サックスのダディ柴田、トロンボーンのボーン助谷、
トランペットの石垣三十郎のホーンセクション、東京ビーバップを
新たに結成。バンドに加わった。

84年10月、”Visitors Tour”がはじまる。

そして翌年2月、ツアーの最中でありながら
シングル ”Young Bloods”を発表。
『85年国際青年年』キャンペーンのテーマソングとして使用された。
また、この印税をアフリカ難民救済の資金として寄付した。

85年5月、大規模となった”Visitors Tour”終了。
このツアーで佐野さんは、ヒップホップ、ファンク、ソウルなどを
徐々になじませていった。
当初、戸惑いをみせていたファンたちも最後には賞賛にかわった。

個人的にコンプリケーションシェイクダウンはすばらしいと思う。
とくにライブでのパフォーマンス。
新しいアレンジで演奏されるたび、この曲のすばらしさと奥深さを
感じずにはいられない。

VISITORS” 

とにかくおだやかじゃない、そんな1枚です。

最後まで読んでくれてありがとう。

ここにきてくれてありがとう。

2011年6月18日土曜日

SOMEDAY 佐野元春。

 今さら、どうのこうのと言うのもなんだが、

SOMEDAY” 81年に発表された佐野元春の4枚目のシングルだ。

その頃の佐野さんは、大滝詠一さんのナイアガラトライアングルに参加したり
それと並行し、サードアルバム”SOMEDAY”のレコーディング。そして、
ステージと多忙だったそうだ。

大滝さんとのレコーディングはとても勉強になったという。

82年、サードアルバム”SOMEDAY”発表。

佐野さんを代表するアルバムでありアルバムタイトル曲でもある。

ただ、聴いて欲しい。

”ダウンタウンボーイ”は81年に発表。

この時のアレンジが気に入らなかったらしく、
”SOMEDAY”収録時にアレンジを変え、録り直している。
リミックスバージョンは”Moto Singles”に収録されている。

”Happy Man”は友人たちがコーラスで参加している。楽しい曲だ。

SOMEDAY” 日本を代表するスタンダード曲のひとつである。
いまさら説明は不要だろう。

”Rock&Roll Night” スケールの大きい曲。
ただただすごい。とにかく、ただただ、きいてほしい。
独特の言葉のセンス。ライブではドラマティックなパフォーマンス。
ストーリー性に富んでいる。

また、”Rock&Roll Night Tour”も始まり全国を回る。
チケットはすべて、Sold Outとなる。

このころ、沢田研二さん、山下久美子さんなどが
佐野さんの曲をとりあげている。

また、20周年を記念してコレクターズエディションも発表されている。

ディスク1は、オリジナルをリマスターしているもの。
ディスク2は、ボーナストラック。
その中に”ワンダーランド”という曲がある。
CD化にあたってはこれが初めてだそうだ。

”マンハッタンブリッジにたたずんで”
もともとはアルバム”SOMEDAY”に収録するはずだったそうだ。
ナイアガラトライアングルVol.2に収録されているが、
これは、大滝詠一さんの希望でそうなったらしい。
もし、この曲が”SOMEDAY”に収録されていたら、
”サンチャイルドは僕の友達”は含まれていなかったらしい。

佐野さんのソングライティングやライブパフォーマンスのスタイルは
まちがいなく、のちのソングライターたちに影響をあたえている。

すばらしき1枚です。

最後まで読んでくれてありがとう。

ここにきてくれてありがとう。

2011年6月17日金曜日

Heart Beat 佐野元春。

 佐野元春のセカンドアルバム。

ファーストアルバムでアレンジャーとして参加していた伊藤銀次と
つくりあげていったアルバムである。

伊藤銀次との出会いが、その後の佐野さんにとっては大きなものとなる。

デビュー直後、TV番組”ファイティング80s”への出演が
決まったのだが、バンド自体が急きょ、よせあつめられたバンド
だったゆえ、佐野さんが納得するだけの力はなかった。

が、同番組の収録で銀次さんと再会することになる。

その後、佐野さんのバンドに銀次さんが参加することになるのだが、
当時、演奏できる場所は限られていたしライブハウスでも最初の頃は、
10人 20人ぐらいの人数しか集めることができなかったという。

しかし、セカンドアルバムのレコーディングをとおして、
彼のバンドも徐々につくりあげられていく。

のちのThe Heartlandである。

”ガラスのジェネレーション”

そんなにヒットではなかったが、ルイードでのライブは
もりあがっていたらしい。

ファンが増え、ガラスのジェネレーションをリクエスト
してくれるようになり、それがうれしかったと語っている。

”バルセロナの夜”は個人的には好きな曲のひとつです。
しかし、後で知ったのだが、
佐野さん本人はあまり好きではないらしい。
それは、当時のアレンジャーに自分の意思を全て伝えることが
できなかったから、だそうだ。

これはのちのアルバム”Slow Songs”では、サックスがカットされた
リミックスバージョンになっている。

”彼女” この曲もオールドファンにとっては、大切な曲のひとつだ。
91年にリテイクされた”彼女”も個人的にはきいてほしい。
”Slow Songs”に収録されている。

”悲しきRadio” ”Heart Beat

その後のライブにとって、大事なナンバーとなる名曲。

”悲しきRadio” ライブではクライマックスの定番ナンバーとなる。
独創的な演出もすばらしいと思う。
ホーンセクション主体の10分を超えるハートランドの演奏は
まさに圧巻である。

Heart Beat” 夜の街での若者をテーマにロマンスをうたっている。
心に染みるバラードだ。
聴くたびに思うのだが、どうしてあんな詩が書けるのか
不思議でしょうがない。聴くたびにうなってしまう。
ライブでの演奏もすばらしいと思う。
佐野さんがハーモニカを吹くバージョンもあるのだが、
個人的には、93年 See Far Miles Tour PartⅡ 横浜アリーナでの
ライブバージョンがすごすぎる。 (The Golden Ring収録)
ギターで始まるイントロがかっこいい。

う〜〜〜〜ん。このアレンジはすごすぎる。
それ以外に言いようがない。
何年たっても古さを感じさせない。
この曲の魅力はこの先も色あせないと思う。

数々の名曲が入ったこのセカンドアルバム、”Heart Beat”。
オールドファンならNo.1にあげる人も少なくないだろう。

魅力がある1枚です。

最後まで読んでくれてありがとう。

ここにきてくれてありがとう。

2011年6月15日水曜日

Back To The Street 佐野元春。

 1980年に発表された記念すべき佐野元春のファーストアルバム。

Back To The Street

”夜のスウィンガー”

耳にした当時、あまりにも斬新すぎると思った。

マシンガンのごとく連射される言葉。
まるで洪水のようにあふれてくる言葉。

とにかく、すごいとしか思えなかった。
なにかを超えているとも思った。

早口な日本語の表現。あの当時、全てが桁外れであり
表現、手法も画期的なものだったはずだ。

”アンジェリーナ”

佐野さんの記念すべきデビュー曲である。

この曲は86年にスローバージョンが発表され
『ストレンジデイズ』のB面に収録されている。

”情けない週末”

なんでこういう言葉がでてくるんだろう。
もう、ただただ 不思議としか思えなかった。

”みんな雨に打たれてりゃいい。”  ”生活といううすのろ。”

”Do What You Like” (勝手にしなよ)

個人的にもこんな曲は聴いたことがなかった。
この曲は、のちのライブでは、ビッグバンドJazz風のアレンジで
演奏されたりもしている。

佐野さんは78年この曲で、ヤマハ主催のポピュラーソングコンテストで
優秀曲賞を受賞している。

そして翌年の79年、当時のEPICソニーのディレクターが数年前に
録音されたデモテープをぐうぜん耳にしたそうだ。
”Do What You Like”と”情けない週末” を聴いたらしい。

デビューへむかっていくきっかけとなる。

”情けない週末”と”バッドガール”は、のちのアルバム”Slow Songs”で
フルオーケストラバージョンで新録音されている。

これには、否定的な意見をもっている人たちもいるだろうが、
ひとつの試みとしては ”あり” でもいいと個人的に思う。

また、佐野さんいわく、
言葉に関していえば、いろいろな試みをしてみたかったそうだ。
独自の表現方法を探っていたのだろう。

佐野元春のデビューアルバム! ”Back To The Street”

当時チャートを席巻することはなかったし、
デビューシングルである”アンジェリーナ”も同様だったそうだ。

しかし、今までの日本ではみられなかった独創的で斬新な言葉と音は、
新しい風を起こし、
常に新しい音楽を求める者たちを徐々にとりこんでいった。

デビューアルバム ”Back To The Street

ガムシャラな1枚です。

最後まで読んでくれてありがとう。

ここにきてくれてありがとう。

Cafe Bohemia 佐野元春 with The Heartland

 ぼくが、初めて佐野元春の音楽と出会ったのは、
Cafe Bohemiaというアルバムだった。

その数年前、ブリティッシュロックのはやりからの延長で
アメリカのロック、ポップスなども聞くようになっていた。

日本では、J-POPなどという言葉は、
まだ存在すらしていなかった。

そんな中、友人から佐野元春の話を聞いた。

聞いた瞬間、とにかくひきこまれた。ものすごい新鮮にも思えた。

新しい音楽に出会えた気がした。

佐野元春 with The Heartland"

このアルバムはハートランドが全面的に演奏した初のアルバム
だということは、だいぶ後になって知った。

最初のカフェボヘミア(Introduction)からのワイルドハーツへの
始まりが、まず好きだった。

ワイルドハーツはライブ用のアレンジがいい。
佐野さんとダディ柴田さんのサックスのやりとりがたのしい。
なかでも、”See Far Miles Tour Part1”に収録されている
ライブでのパフォーマンスが個人的にはたまらなくいい。

そして、ヤングブラッズ、インディビジュアリストで
決定的にやられてしまった。
ヤングブラッズは、佐野さんにとって初のトップ10ヒットとなった。
あの当時、自分のキャリアのなかでいちばん嬉しい事だった。と語っている。
のちのライブではピアノのひきがたりバージョンもひろうしている。

また、クリスマスタイムインブルーもヒットしている。
この曲は、かねてからファンとの約束の曲だったそうだ。

1986年5月には個人レーベルM'sファクトリーが発足。
第1弾としてストレンジデイズ、その後シーズンインザサン、
ワイルドハーツへとつづいた。

ストレンジデイズは94年4月、日本武道館で演奏された
ライブバージョンが個人的に好きだ。 (The Golden Ring 収録。)
アレンジが大幅にかえられており、オリジナルとは印象が違う曲になっている。

アルバムCafe Bohemiaはこれらのシングルを含んでいる。

Cafe Bohemia。あったまる1枚です。